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【2014年振り返り】幼少時の性的虐待事件で、除斥期間の壁を突破し、札幌高裁で逆転勝訴! [人身損害賠償について]

 3歳から8歳まで、叔父から性的虐待を受けていた女性が、最後の姦淫行為から20年以上を経過した後に、叔父に対して損害賠償の訴えを起こした事件で、加害者も性的虐待の事実を認めていたにもかかわらず、一審・釧路地方裁判所は、20年の除斥期間(時効制度の一つ)の経過を理由に、被害者の請求を退けました。

 一審を担当した女性弁護士は、私が東京弁護士会の公設事務所にいた時に、釧路に送り出した人です。
弁護士なら誰しも、20年の除斥期間の壁を突破することが、どれほど困難なことか、99.9%の事件は敗訴していること、除斥期間の壁を突破した事件は10指に余ることを知っています。
それでも、彼女は、被害から20年以上を経て、訴えたい、という彼女を、「私が受けなかったら、この人は死んじゃうかもしれない」と思って、受任し、提訴しました。
 この釧路の女性弁護士の勇気・英断がなかったら、この事件は闇に葬られていました。

 一審敗訴を受けて、東京・札幌から助っ人弁護団が加わり(私もその一員です)、ようやく、2014年(平成26年)9月25日に、札幌高等裁判所は、被害者の求めた損害賠償をほぼ認める判決を下しました。(加害者が最高裁判所に上告しています。)

 しかし、札幌高裁の論理は、被害から20年を経過した後に、新たに被害に起因する重度難治性うつ病を発症したことを捉えて、除斥期間の起算点を後ろにずらしたもので、最高裁では勝てる枠組みではあるものの、類似の幼少時の性的虐待の後遺障害で、20年以上経過後もPTSDや離人症性障害などに苦しんでいる方たちを救うことはできない枠組みです。

 幼少時の被害を、訴え出ることができない間に、加害者を保護する時効が進行するなどという不正義は無いだろう、と思い、諸外国の法制を調べてみると、ドイツ、アメリカ、韓国、など、諸外国で時効を延長する法制があることがわかりました。

 そこで、
「性的虐待の時効は大人になるまで停止して下さい。子どもが全国どこでも助けを求められる体制を!」
という署名活動を始めました。
おかげさまで、現在約4200筆のご賛同をいただいていますが、是非、ご協力いただければ幸いです。

https://t.co/tEHG79LN7J


【参考記事】

3歳から8歳まで叔父から受けた性的虐待。札幌高裁は「魂の殺人」の主張を容れ被害者の請求、大半を認める

治部れんげ | ジャーナリスト、昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員
2014年9月25日 15時49分
http://bylines.news.yahoo.co.jp/jiburenge/20140925-00039405/


PTSD訴訟で被害女性が「逆転勝訴」 30年前の性的虐待の損害を認定
池上正樹 [ジャーナリスト]【第521回】 2014年9月25日
http://diamond.jp/articles/-/59647


ジャパンタイムズ 2014年10月9日
https://www.dropbox.com/s/2qvc6kwrzcofhg6/20141009%20%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%91%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA.pdf?dl=0


東京新聞 2014年12月1日
「幼時の性的虐待 成人するまで時効止めて」「後から被害に気づく『時限爆弾』」
https://www.dropbox.com/s/apfqtqz1yd4jzwa/20141201%E3%80%80%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E6%96%B0%E8%81%9E.JPG?dl=0


読売新聞 2014年12月20日
「心の傷 時効を止めて」
https://t.co/pYVOS0LUaM

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