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ここがヤバイ!厚労省・待機児童解消緊急施策への問題指摘 [保育について]

ここがヤバイ!厚労省・待機児童解消緊急施策への問題指摘

 平成28年3月28日付けで厚生労働省は「待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策について」を公表しました。
しかし、保育施設での死亡事故に15年以上かかわってきた私の目から見ると、「それはヤバイよ!!!」と言わざるを得ないものも含まれています。以下、平成28年4月3日に厚生労働省に送った意見をアップしておきます。

1.保育士配置の国基準では1歳児の誤嚥窒息・アナフィラキシーショックが頻発します

誤嚥による窒息の発生は1歳(0・1歳児クラス)の食事中に集中しています。1歳は、「どのくらいの量をどのくらいのスピードで食べればちょうど良いか」という認知機能も、咀嚼・嚥下機能も脆弱だからです。誤嚥窒息を防ぐ方法は、調理室における食材・食形態の配慮と、保育室における保育士の見守りしかありません。
また、全般的にアレルギー対応食の提供児童が増加しており、アナフィラキシーショック防止のためテーブルを分けて食事提供している園がスタンダードです。
誤嚥及びアナフィラキシーのリスクをコントロールするために、一般に保育所では、1歳の食事時、非常勤保育士も含めて子ども4人:保育士1人で運用しています。これを6:1の国の最低基準通りに詰め込めば、誤嚥窒息及びアナフィラキシーショックの頻発が予想されます。
保育士配置基準の緩和、無資格者による代替は、絶対にやめてください。

2.保育士有資格者の配置基準緩和でネグレクト死が増加します

 泣く子どもをうつぶせに寝かせて「騒音」を消すために毛布を被せて放置したり、押し入れの中や別室に寝かせて放置(ネグレクト)して窒息死するケースが相次いでいます。また、近年、保育ママ・ファミリーサポート事業などでのうつぶせ寝死亡が目立ちます。
 保育士資格は、子どもの発達についての専門知識を有していることの最低限の保障です。ギャーギャー泣き叫ぶ他人の子ども、しかも複数の子どもが同時に泣き叫んだ時に、虐待に及ばずに抱っこしたりおんぶしたり受容したりできるのは、「発達についての専門知識」と「保育現場での経験」の両輪によります。「発達についての専門知識」がない無資格者や、「保育現場での経験」が無い若手保育士のみの職場で、泣いて言うことを聞かない子どもに応答的に関わることなく、毛布を被せたり、毛布でくるんで縛ったり、閉じ込めたり、叩いたり、脅したりという虐待行為が起こっています。死亡事故は、その延長線上で起こっています。
 保育士有資格者の配置基準緩和は、絶対にやめてください。

Ex.ベビーシッターが叩いた暴行罪、宇都宮市グルグル巻きの暴行罪、郡山市認可外(泣くのでうつぶせに寝かせて毛布を頭から被せて重しを乗せて放置し窒息死・仙台高裁民事判決)、川口市認可外(泣くとうるさいので押し入れに寝かせて暗くして、起きだした子が他の子に乗って圧迫窒息死・業務上過失致死罪)、さいたま市認定ナーサリー(午睡中泣くので布団を頭から被せ、死後硬直が生ずるまで放置)、八尾市ファミリーサポート(泣くのでうつぶせにして寝かせた)、23区内企業内保育所(泣くので他の子と別室にうつぶせに寝かせて放置)など。

3.面積基準の国基準への詰め込みで噛みつき・ひっかきが頻発し、保育士の退職につながります

人間には他者に侵害されると攻撃的になるパーソナルスペースがあります。*ここに踏み込まれると、噛みつき・ひっかきなどのトラブルが1,2歳児において頻発し、保護者からのクレームが保育士を圧迫します。
また、詰め込みにより、子どもが集中して遊びこむことができなくなり、子ども同士の小競り合いが増え、保育士の多忙感が増すことになります。
いずれも、保育士が燃え尽きてしまい離職する原因になっています。

*全国社会福祉協議会による「機能面に着目した保育所の環境・空間に係る研究事業総合報告書」によれば「2歳未満児は1人あたり4.11㎡」必要とされています。

4.企業内保育所でも子どもは亡くなっています

人員配置・面積基準を緩和するのはやめてください
企業主導型保育事業を「子育て支援員等」によって整備しようとされていますが、企業内保育所でも、類似の死亡事故は起こっています。
事業所内保育所の中には、保育士資格のないベビーシッターが日替わりで保育しているケースや、保育士の入れ替わりが激しいなど、子どもと保育者の愛着形成がなされず、ギャーギャー泣くのを放置したり、うつぶせ寝で放置した死亡事故は、他の設置形態の保育施設と同様に起こっています。
企業主導型保育事業に対しても、面積基準・保育士配置基準を順守させるとともに、指導監督を及ばせてください。
EX.都立小児病院事件、都立豊島病院事件、23区内企業内保育所など

5.一時預かり事業の待機児対策活用は、家庭で子育てする人の居場所を奪うもの

一時預かり事業は、家庭で子育てをしている保護者のリフレッシュや所用時の利用のみならず、うつ状態や虐待のおそれのあるケースの優先利用で満杯の現状にあります。これを待機児童の受け皿としてしまうと、家庭で子育てする人の居場所や、虐待予防のための受け皿がなくなってしまいます。
 一時預かり事業の活用はやめてください。

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