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高次脳機能障害の方の将来の保佐人報酬 [人身損害賠償について]

これまで交通事故によって高次脳機能障害の後遺症を負い、
高次脳機能障害だけで見ると後遺障害等級5級~3級程度の方の
損害賠償請求事件を何件か担当してきました。

弁護士になりたての頃から、人身損害の事件をやってきて、
命の代償、あるいは一生障害を背負っていく代償として
受領したはずの賠償金が、
1,2年のうちに無くなってしまう(使ってしまう)方々を、
何人も何人も見てきましたので、ここ10年ぐらいは、
脳に障害を負った方の事件では後見・保佐の制度利用を、
積極的にお勧めするようにしています。

その際に、必ず、ネックになるのが後見人・保佐人の報酬。
第三者に報酬を払うことで、賠償金が目減りするのは嫌だ、
というのは、被害者及びご家族にとっては当然の思いです。

そこで、私は、高次脳機能障害の方に後見人・保佐人を選任した件で、
後見人・保佐人の将来の報酬を、積極損害として賠償項目に入れて、
損害賠償請求を起こすようにしています。

保険会社側からは、
「後見人・保佐人報酬は逸失利益の労働能力喪失率に含まれている」
という主張がなされていましたが、おかしいですね。
事故にあわなければかからなかった費用が出ていく分を取り戻す、
という「積極損害」と、
事故にあわなければ得られたであろう利益を穴埋めする、という
「消極損害」を、取り違えた議論だと思います。

先日、昨年提訴した事件で、将来の保佐人報酬を認める内容で、
裁判上の和解が成立しました。

今後は、高次脳機能障害の方の損害賠償事件では、
将来の後見人・保佐人報酬が損害項目のスタンダードになるように、
今後も事例を積み重ねていきたいと思っています。









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